
エンジニアリング会社C社 設備設計部
世界初、分離膜を用いたバイオディーゼル燃料の精製
蒸留法に比べて20倍近く生産性向上を実現した、最も省エネで生産性の高いシステムとは
背景
脱炭素化に積極的に取り組み、廃食油からバイオディーゼル燃料を製造して所有トラックに活用しているという顧客から、プラント増設の相談を受けたC社。車両数を増やすにあたり製造量も増やす必要があった。しかし、これまでの設備にはいくつかの課題があり…
課題
既存の蒸留法では生産性が律速で安定供給が難しい…より生産性の高い技術および設備を提案したい
相談を受けた設計担当のE氏はこう振り返ります。
「2024年問題の影響から所有トラックの車両追加にあたって製造量も増やす必要があり、製造設備を増設したいとの相談でした。しかし、トラックは消費する燃料も膨大で、“蒸留法”における熱分離プロセスはバッチ式で律速となり、より生産性の高い技術が必要であると考えられました。」
この顧客は自社のCO2排出量ゼロを目指して、いち早く廃食油からバイオディーゼル燃料の製造に取り組んでいました。バイオディーゼル燃料中に不純物があるとマフラーが目詰まりを起こして運転トラブルを招くなど、さまざまな不具合が発生します。そのため、これまでは蒸留装置で不純物を除去して高純度化する方法で製造していました。
「高品質なバイオディーゼル燃料の製造において、蒸留法は現状考えられる汎用の精製技術です。安全かつより効率のよい精製技術および設備の提案を求められましたが、当社では前例がなく、すぐに応えることはできませんでした」(E氏)
バイオディーゼル燃料の製造方法は、現在も絶え間ない研究開発が行われており、日々進化しています。E氏はさまざまな製造方法を検討しますが、現実的な方法はなかなか見つかりませんでした。
課題のポイント
バイオディーゼル燃料中に不純物があるとトラブルを招いてしまう
実質コストが燃料費に反映されるため、低コストの精製技術が求められた
燃料であるため、蒸留法のような熱分離プロセスは危険性を伴った
蒸留法はバッチ式で律速。より生産性高い技術が求められた