
カシオ計算機様
革新的なデザインの「最強のタフネス」を目指す素材
製品化に至るまでの壁と解決への道
ケースに求められる“強さ”とは?
カシオは、ケースにカーボン素材を使用した新構造「カーボンコアガード構造」を採用した製品を、2019年に多数発表しています。GG-B100もそのうちの1製品です。
カシオはカーボンケースでモジュールを保護する新耐衝撃構造(カーボンコアガード構造)により、高い剛性を維持しながら、軽量なボディーに仕上げることを目指します。 しかし、それを実現するために、素材選びが問題となりました。 一般的に「カーボン」と呼ばれるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)は、樹脂に炭素繊維を混ぜて成形し、高い強度を実現しています。 そして組み合わせる樹脂によって、成形品の性質は大きく変わります。
「カーボンケース自体は、以前にG-SHOCKのGULFMASTER(ガルフマスター)シリーズで挑戦したこともありましたが、当時は私たちの中にカーボンという素材に対する知見が十分に蓄えられていませんでした。 次世代モデルにカーボンを使うのであれば、多種多様なカーボン素材を集めて十分に比較検討すべきという意見がチームの中から出てきたのです」とカシオの開発者井口氏は振り返ります。

デザイナーチームとともに自動車や航空機、宇宙産業などに使われている高剛性のカーボン素材を片っ端から集めてきては、すぐに評価検討が行われました。 試験のために専用の金型まで製作しカシオは評価に力を注ぎます。 素材メーカーから持ち込まれたさまざまなカーボン素材を同じ形状、同じ条件のケースにして比較検討を重ねました。 テスト項目は、耐衝撃性の他、気温や湿度、紫外線などの影響、さらに人の肌に触れたときの汗や薬品による変化への耐性など多岐にわたりました。
「カーボンと合わせる樹脂素材の選定は困難を極めました」と井口氏。気がつくと、テストしたサンプルは40種類を超えていました。
そして、G-SHOCKのコンセプト同様の「タフな」試験を実施し、カシオ独自の評価基準で吟味を重ねた結果、最適なグレードであるダイアミド® CXを採用しました。
解決のポイント
地球上のあらゆる環境下でG-SHOCKを装着するための多岐にわたる要求性能を実現
- 耐衝撃性
- 軽量化
- 寸法安定性(温度条件や吸水による膨張・収縮を低減)
- 耐候性(紫外線などへの耐性を保持)
- 高発色性(50種類のマスターバッチから着色可能)
- 耐薬品性(肌に触れたときの汗や薬品による変化への耐性の向上)
以上を兼ね備えるダイアミド® CXはG-SHOCKの厳しい要求を満たしました。
今後もさらに進化するG-SHOCKに貢献し、革新的なデザインの「最強のタフネス」を素材面から目指します。