
ワイヤーハーネス製造 H社 設計開発部
高性能なEV向けに、ハーネスのさらなる高出力化とそれに伴う省スペース化が必要…
解決策は、高い難燃性を持ったポリアミド12を用いた押出被覆のバスバーの活用だった!
解決
解決のポイント
ポリアミド12なら押出成形を用いることで長尺かつ、均一な被覆が可能
優れた押出成形性と柔軟性があるため、被覆後のストレート形状のバスバーを後加工で曲げることができ、レイアウトの自由度に貢献
高い絶縁性、耐薬品性があり、一定の耐熱性も保有している。またバスバー向けのグレードは、高い難燃性も兼ね備える
優れた柔軟性のポリアミド12を押出被覆をすることで、バスバーの難題を解決!
T氏は早速、ポリプラ・エボニックにコンタクトを試み、押出被覆のバスバーについて詳しい話を聞くことにしました。そして後日、ポリプラ・エボニックの営業担当者から押出被覆のための「ポリアミド12」という樹脂の紹介を受けます。この樹脂は、ポリアミド系樹脂の中では低吸水のため、寸法安定性に優れており、また、高い柔軟性がある材料であることがわかりました。
「ポリアミド12で押出成形での被覆をし、曲げ加工を施したバスバーのサンプルを見せてもらいました。そのサンプルは、均一な被覆が施されていたのはもちろんのこと、形状が、フラットワイズだけでなくエッジワイズも施されており、かなり複雑な曲げ形状にも十分対応可能なことが分かりました。これには可能性を感じましたね」(T氏)
また、ポリプラ・エボニックのポリアミド12には難燃性に優れたグレードラインナップもあり、UL94規格 V-0、V-2のグレードを保有していました。
さらに話を進めたところ、ポリアミド12自体は自動車分野ですでに多くの市場での採用実績があり、例えば、樹脂配管であるガソリンを輸送するための燃料配管や、バッテリーの冷却液を循環させるための冷却配管などに使われていたのです。
「説明や各種データ、そしてサンプル品を見せてもらって、ポリアミド12は自動車用部品として一般的に求められている要求性能の耐熱、耐薬品、耐低温衝撃性などを十分に満たす見込みのある材料であることが分かりました。これなら本格的に評価してみる価値がありそうです」(T氏)
現在、H社のバスバー押出被覆の試作作業や評価は順調に進んでいます。
最後にT氏は以下のように述べています。
「近年、世界的規模でも、自動車産業におけるEV化の流れは大変顕著です。特に、弊社もターゲットとしている中国市場では、年々EVの生産台数も増加傾向にあります。今後、EV化の流れの中で、今回のような長尺かつ複雑な曲げ形状のバスバーのニーズはますます増えていくと予測しています。今回のポリアミド12を用いたバスバーの押出被覆を全面に押し出して、海外OEMの案件を含め、シェア拡大を狙っていきたいと思います」(T氏)